スリランカのいち風景 - スリランカのお寺の境内に住み着く猫一族
いくらか誇張されいくらか 縁飾りをつけられていたけれど
その物語はとても本当の人生に似ていて
だがそれを読み終えたあとも
自分の暮らしは続いていることに
気づかないわけにはいかない
電車の窓外では街並が切れ一面の菜の花
たとえば<たとえば>と言ってみて
ふと<ふと>と言ってみてそのあとに
生きることのこまやかな味わいのあれこれを
目録のように並べたてても矛盾は解けない
束の間の慰めなら一杯の紅茶でも事足りる
それからいったいどうするのか
電車の窓外では街並が切れ一面の菜の花
『ルフラン』 by 谷川俊太郎
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