1/17/2013

787機、バッテリー過充電か、内部激しく炭化

ハイブリッド車でもリチウムイオン電池の採用には慎重で、ニッケル水素電池が主流なんだから、いくら最新型ジェット機だって、採用をもっと検討しないといけなかったんだろうね?・・・、むろん鉛蓄電池を搭載せよとはいいません!液漏れする・・・(・o・)
全日空のボーイング787が飛行中に発煙し高松空港に緊急着陸したトラブルで、国土交通省運輸安全委員会は17日、機体前方の電気室にあるメーンバッテリーの内部が激しく焼けただれ炭化していたことを明らかにした。バッテリーは正常な重量より15%以上軽くなっていた。安全委は、容量以上の電力が充電され続けた「過充電」が原因との見方を示唆。バッテリーの過熱が液漏れや発煙につながったとみて、研究機関で鑑定する。
安全委は同日、メーカーのGSユアサ(京都市)の技術者立ち会いの下、異常があったメーンバッテリーを取り外して調査した。
小杉英世・次席調査官によると、バッテリーを収納する金属製容器(幅28センチ、長さ34センチ、高さ22センチ)が内部からガスや熱で膨脹したように変形していた他、充電量などを制御する保護回路の基板が真っ黒に焼けていた。正常だと28.32キロあるバッテリーの重量は23.58キロに減少。大量の液漏れで軽くなったとみられる。
また、電気室付近の胴体にある通排気口の外側の機体には、長さ2~3メートルにわたって焦げ茶色のすすが付着し、電気室から煙が大量に出たことが確認された。
小杉次席調査官は「バッテリー内部は液が抜け、木炭のようになっていた。過電流や過電圧などバッテリーに大きな負荷がかかっていたのは確かだろう」と述べ、電圧や電流の変化などをフライトレコーダーを分析して解析する考えを示した。
全日空などによると、メーンバッテリーのリチウムイオン電池には稼働中のエンジンから電気が供給され続ける。過充電にならないよう同じ容器内と機体側に二重の制御装置が組み込まれ、充電容量が100%に達すると供給が止まる仕組み。GSユアサの広報担当者は「バッテリーが炭化するトラブルは初めて聞いた。原因はすぐにはわからない」と話した。18日は米国から国家運輸安全委員会(NTSB)と連邦航空局(FAA)の調査官、ボーイング社の技術者らが高松入りし、機体を調査する。
今回のトラブルがあった機体は12年1月に運航を開始。10月17日早朝に羽田空港で機体電源が入らないトラブルがありメーンバッテリーを交換した他、8カ月前の同2月29日にも電気系統のトラブルを起こしていた。同型のバッテリーは米ボストンの空港で日本時間の今月8日に出火した日本航空の787にも使われており、全日空が同日行った緊急点検で異常は見つかっていなかった。
日本メーカーのGSユアサ社製ではあるが、リチウムイオン電池自体が保護回路を持っているわけではなく、充電制御に問題があったのだろうが、リチウムイオン電池自体が、
  • リチウムイオン電池は、何らかの原因により電池内部で材料が燃え、電池の異常発熱や発火に至ることがある。
  • これまで、パソコンや携帯電話などリチウムイオン電池の実用化で先行する民生機器の分野では、リチウムイオン電池に係わる発熱・発火事故が相次いで報告されている。
という安全性がいまいちハッキリしていない電池であるので、いくら最新鋭B787型機であろうと、採用は慎重にしないといけなかった。まずは、ニッケル水素電池(ハイブリッドカーで安全性は確認されているはず)を採用して、将来、安全性が確認されてから、リチウムイオン電池に切り替えてもよかったはずだ。
EV、HEVへの搭載が本格化
リチウムイオン電池の自動車への搭載は、これまで実験車両や一部の商用HEV車などに限られていた。しかし、ここにきてリチウムイオン電池を自動車用バッテリーに採用する動きが本格化している。今年、リチウムイオン電池を搭載するEVを発売した三菱自動車と富士重工に続き、トヨタ、日産、ホンダ、GM、VWグループは、今後3年以内にリチウムイオン電池搭載のEVやHEVを発売する計画である。
これまで自動車にリチウムイオン電池の採用が進まなかった理由の一つに、安全性の問題がある。自動車メーカーや電池メーカーは、従来の材料に改良を加えたり、新材料を開発したりすることで、自動車用リチウムイオン電池の安全性を確保しようとしている。
民生分野で実用化が先行
1990年代初めに実用化されたリチウムイオン電池は、ノートパソコンや携帯電話のバッテリーとして瞬く間に採用が広がった。比重が小さく、電気化学反応を起こしやすい性質を持つリチウムを材料に使用したリチウムイオン電池は、ニカド電池やニッケル水素電池に比べ、同じ重さで2~3倍のエネルギーを蓄えることができる。現在、民生機器向けに出荷されている二次電池は、数量ベースで3分の2をリチウムイオン電池が占める。
一方、自動車分野では状況が異なる。リチウムイオン電池の自動車への搭載は、FCVやEVの実験車両や一部の商用HEV車などに限られていた。リチウムイオン電池の採用に慎重であった自動車メーカーであるが、今年からようやくリチウムイオン電池の採用が本格化する。三菱自動車と富士重工が今年から販売を始めるEVはリチウムイオン電池を搭載する。その他各社も、今後数年以内にリチウムイオン電池搭載車を発売する計画を明らかにしている。
安全面で課題も
自動車用バッテリーとして、これまでリチウムイオン電池の採用が進まなかったのは、一つにはリチウムイオン電池に安全性の問題があったからである。リチウムイオン電池は、何らかの原因により電池内部で材料が燃え、電池の異常発熱や発火に至ることがある。これまで、パソコンや携帯電話などリチウムイオン電池の実用化で先行する民生機器の分野では、リチウムイオン電池に係わる発熱・発火事故が相次いで報告されている。
リチウムイオン電池が異常発熱や発火を起こす現象は、「熱暴走」と呼ばれている。熱暴走は、何らかのきっかけにより、電池内部の特定部材が発熱、その発熱がさらに他の部材の発熱を引き起こし、電池温度の上昇が続くことで起きる。熱暴走の主なきっかけには、内部短絡や電池パックの過充電、それらの複合要因などがある。内部短絡が起きた場合、負極に一気に電気が流れることで、負極の発熱を引き起こす。発熱した負極は、正極を加熱し正極の発熱反応を引き起こす。
一方、過充電は、正極の発熱を引き起こす。リチウムイオン電池の充電は、正極材料中からリチウムイオンを引き抜き、負極材料中に差し込むことで行われる。

ただしこのとき、リチウムイオンが引き抜かれた正極は結晶構造が不安定になるため、充電時に正極から抜き出されるリチウムイオンは、一定範囲内になるように制御されている。しかし、過充電が起きると、過剰なリチウムイオンが抜き出され、正極材料の結晶構造が壊れる。結晶の崩壊過程で、正極の発熱反応が起きる。
自動車に求められる安全性能
自動車メーカーや電池メーカーは、軽量・高容量というリチウムイオン電池の特長を生かした自動車用電池の実用化を目指して、材料の改良・開発に取り組んできた。リチウムイオン電池をHEVやEV用バッテリーとして使用する場合、減速時の効率的なエネルギー回収のための瞬間的な大電流の受け入れ、EVの利便性向上に必要な外部電源からの急速充電、車体への衝撃や衝突など外力による電池形状の変形や内部材料の圧迫に起因する内部短絡からの保護など自動車特有の安全性に関する要求を満たす必要がある。
現在、国内メーカーから量産が発表されている自動車用リチウムイオン電池は、正極の材料により、三元系とマンガン系と呼ばれるものに大別される(図5)。三元系は、民生用リチウムイオン電池の材料として一般的であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)のコバルトの一部をニッケルとマンガンで置換したものである(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2)。この材料の組み合わせにより、材料の熱安定性を向上させた。三元系の自動車用リチウムイオン電池の量産は、三洋電機がVWのHEV向けに、GSユアサとホンダの合弁会社であるブルーエナジーがホンダのHEV向けに計画を発表している。
マンガン系は、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を材料に使用する。結晶構造は、酸素原子の隙間にマンガンとリチウムの原子が入り込んだスピネル構造と呼ばれる構造をとる。この構造により、充電によりリチウムイオンが抜き出された後も結晶構造は安定している。マンガン系の自動車用リチウムイオン電池は、日立ビークルエナジーが三菱ふそうHEVトラック向けに既に実用化している。リチウムエナジージャパンとオートモーティブエナジーサプライが、それぞれ三菱自動車の「i-MiEV」と富士重工の「プラグインステラ」に供給するリチウムイオン電池もマンガン系である。
注目を集める新負極材料
負極材料は、炭素を高温で焼成させたハードカーボンを使用するメーカーが多い。そのような中、新材料として注目を集めているのが、チタン酸リチウム(LTO)である。チタン酸リチウムは、炭素系材料に比べ熱安定性に優れる(図6)。また、チタン酸リチウムの成分である酸化チタンは、炭素と異なりそれ自身では電導性を持たない。負極に炭素材料を使用したリチウムイオン電池では内部短絡が起こると、負極に一気に電流が流れ負極温度が急上昇するが、チタン酸リチウムを使用した電池では、内部短絡が発生しても、急激に電流が流れることがない。このため、負極の発熱反応は緩やかである。チタン酸リチウムを採用したリチウムイオン電池は、東芝が「SCiB」という名称で、昨年春より一部の産業用分野向けに量産を始めている。今後、東芝は、HEVやEVなど自動車向けに量産を開始する予定である。
 

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